2012年1月1日日曜日

零式戦闘機



神秘のマシン、零式(れいしき)戦闘機。その開発からデビュー、緒戦での華々しい戦績そして最期を通して人、時代、戦争についてを綴る作品。開戦時、日本の中枢はその落とし所をどこと想定していたのか。大東亜共栄圏の建設か、米英蘭本土攻撃か。

零式戦闘機開発、実用化、奇襲、快進撃のくだりは痛快そのものであるが、すでにその結末と結末へ至る苦難は誰でも知っているところであり読み進めるにつれ、それらが読む者へ辛く、重くのしかかってくる。吉村先生の面目躍如の作品であった。
冒頭から最後までそこかしこに現れる、航空機を運搬する役割を担う牛、馬たちがあの戦争の末路を象徴していた。

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